税理士法人アップライズ 自由が丘支社
相続税申告手続きの流れとは

基礎知識Knowledge

2024.08.21

相続税申告手続きの流れとは

相続税申告手続きは、被相続人が亡くなってから10カ月以内に済ませなければなりません。
しかし、相続税申告に先立って、様々なことを決定しなければならないため、下記で紹介する手続きの流れに沿って一つ一つこなすことが大切です。

相続税申告の対象となるかどうかの確認

まず、相続税申告の対象となるのかどうか確認します。
正味の遺産の金額(課税価格)が相続税の基礎控除額の範囲に収まるのかどうかで判断します。
相続税の基礎控除額は次の計算式により求めます。

3,000万円+法定相続人の数×600万円

相続財産の総額がこの計算式で求めた額の範囲に収まっていれば、相続税申告は必要ありません。
一方、明らかに超えている場合や微妙な場合は以下の手続きに従い、相続税申告手続きを進める必要があります。

相続税申告手続きの流れ

相続税申告手続きの流れを簡潔に解説します。

法定相続人の確定

相続税の基礎控除額の計算式にもあるとおり、法定相続人の数により相続税の申告が必要かどうか、具体的な相続税の額も異なります。
法定相続人は戸籍謄本等の調査により確定します。

具体的には、被相続人の出生から死亡時までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本を集めた上で、法定相続情報一覧図等の形で法定相続関係を明らかにすることにより確定します。
なお、戸籍謄本等は、広域交付制度を利用することで一ヵ所の市区町村役場ですべてそろえることも可能です。

相続財産の総額の確定

被相続人の遺産の総額を確定します。
具体的には、相続財産目録などの書式を活用し、被相続人が所有していた土地建物などの不動産、預貯金、株式などの証券類の情報と金額をまとめます。
借金などの負債についても記載します。
相続開始の3年前までに被相続人が贈与した財産、相続時精算課税が適用される財産も併せて記載します。
死亡保険金や死亡退職金は、原則として受取人の財産ですが、「500万円 × 法定相続人の数」で計算した非課税限度額を超える場合は、相続税の課税対象になります。

遺言書の有無の確認

法定相続人と相続財産の総額が確定したら、相続財産をどのように分け合うのか決めなければなりません。
被相続人が遺産分割の方法について生前に遺言書を残している場合は、原則としてその遺言の内容に従って、遺産を分け合うことになります。

遺産分割協議を行う

遺言書がない場合は、法定相続人同士で、相続財産をどのように分け合うべきか、話し合いを行います。
これを遺産分割協議と言います。
法定相続人同士の話し合いだけで決着しない場合は、遺産分割調停などの裁判所の手続きを利用することもできます。
遺産分割協議の結果、話がまとまった場合は、遺産分割協議書を作成します。

相続税申告書の提出と相続税の納付

法定相続人それぞれの遺産の取り分を確定することにより、各法定相続人が負担すべき相続税の額も決まります。
そこで、相続税申告書を作成し、税務署に提出したうえで、各法定相続人が相続した遺産の額に応じて相続税を納付します。

相続税申告手続きで注意したいこと

相続税申告手続きで注意したいことが3点あります。それぞれ解説します。

土地の価額の確定は専門知識が必要

相続財産のうち、預貯金などは、口座に預けられている金額をそのまま記載すればよいだけですが、土地の価額については、固定資産税評価額をそのまま利用できるわけではなく、専門的な計算により評価額を求める必要があります。
そのため、専門家への依頼が必須となります。

相続税の計算はややこしい

相続税の計算は、法定相続分で相続したと仮定して計算した後で、実際の遺産分割に基づいて、個々の法定相続人の相続税額を算出するというややこしい計算が必要です。
納税額を間違えたり、納税が必要ないと勘違いしてしまうと、無申告加算税、延滞税を課税されてしまうリスクがあるので、税理士等の専門家への相談すべきです。

相続税の申告と納税期限は10カ月

相続税の申告と納税期限は、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内です。
上記の手続きのいずれかで引っ掛かり、10カ月以内に相続税の納税までできない場合は、税務署で一定の手続きが必要です。
どのように対処すべきかについては専門家に相談すべきです。

まとめ

相続税申告と納税が必要な場合は、10カ月というタイムリミットがある上、こなすべきことが多岐にわたります。
少しでも分からないことがあれば、早めに専門家に相談してください。

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