個人事業主の所得税とは
個人事業主が事業によって売上等を得ていた場合は、翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行い、所得税を納税しなければなりません。
所得税とは何か、所得から控除できるものは何かについて解説します。
所得税とは
個人事業主が事業によって一年間に所得を得た場合は、所得税がかかります。
具体的に納付すべき所得税額は、次の計算式で算出します。
収入-経費=所得
所得-所得控除=課税所得
課税所得×所得税率-控除額=所得税額
所得税額-税額控除=納付すべき所得税額
所得税は累進課税方式
所得税は、所得額が高ければ高いほど税率が高くなる累進課税方式が採用されています。
例えば、課税される所得金額が195万円以下ならば、税率は5%ですが、4000万円以上になると税率は45%になります。
また、695万円〜900万円だと23%で、900万円〜1800万円だと33%になります。
ちなみに、法人税の税率は原則として23.2%となっており、中小企業なら税率の軽減措置を受けられます。
そのため、課税所得が900万円以上となった場合は、法人化を検討すべきタイミングとされているわけです。
個人事業主の所得税額の求め方
個人事業主の所得税額は、個人事業主自身が算出しなければなりません。
計算した結果を確定申告として提出するわけです。
課税対象となる所得
所得とは、収入から必要経費を差し引いた儲けのことです。
所得は、次の10種類に分類されており、それぞれの所得の内容と計算方法が所得税法に定められています。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
個人事業主に関係ある所得は主に、「事業所得」です。
事業所得の金額は、「総収入金額-必要経費」で計算して求めます。
総収入金額は事業から生ずる売上金額が代表例ですが次のようなものも含みます。
- 金銭以外の物や権利その他の経済的利益の価額
- 商品を自家用に消費した場合や贈与した場合のその商品の価額
- 商品などの棚卸資産について損失を受けたことにより支払を受ける保険金や損害賠償金等
- 空箱や作業くずなどの売却代金
- 仕入割引やリベート収入
必要経費は、次のようなものです。
- 売上原価
- 給与、賃金
- 地代、家賃
- 減価償却費
所得控除
事業所得などを計算して全体の所得が確定したら、所得控除できる項目を差し引いていきます。
所得控除の種類は次のとおりです。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄附金控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
所得控除後の金額を「課税所得」といいます。
課税所得に応じた所得税額の算出
課税所得に応じた所得税額を所得税の速算表により計算します。
課税所得が195万円以上の場合は、控除額も差し引くことを忘れないようにしましょう。
例えば、200万円の場合は次のように計算します。
200万円×10%-97,500円=102,500円
このようにして計算して算出したものが基本的に納税すべき所得税額になります。
税額控除
上記の所得税額からさらに税額控除できる場合もあります。
特に青色申告者の場合は、一定の要件を満たすことで様々な税額控除を受けられます。
個人事業主の所得税の支払い方法
個人事業主の所得税の支払い方法は、源泉徴収と確定申告による支払い方法があります。
源泉徴収は、源泉徴収の対象となる仕事をしている場合に、報酬の支払い者である事業主が報酬額から所得税額を差し引いて代わりに納税する方法です。
なお、源泉徴収が行われている場合でも確定申告は必要です。
確定申告は、毎年1月1日から12月31日までに得た所得額を計算したうえで、翌年の2月16日から3月15日の間に所轄の税務署に提出する形で行います。
所得税の納付期限は、確定申告の提出期限と同じ3月15日です。
以下のいずれかの方法により納付します。
- 振替納税
- ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
- インターネットバンキング等
- クレジットカード納付
- スマホアプリ納付
- コンビニ納付(QRコード)
- 現金納付
まとめ
個人事業主の所得税は、国税庁の確定申告書等作成コーナーで確定申告書を作成することで算出することができます。
基本的なことは、国税庁のサイトで確認すれば分かりますが、難しい場合は、税理士などの専門家に相談しながら作成を進めていきましょう。