個人事業主が所得税を節税する方法
個人事業主が所得税を節税するには、収入からできる限り経費を差し引いて課税所得を減らすことと、所得控除できるものを漏れなく計上することがポイントです。
個人事業主の所得税の計算
個人事業主の所得税は次の計算式で算出します。
収入-経費=所得
所得-所得控除=課税所得
課税所得×所得税率-控除額=所得税額
所得税額-税額控除=納付すべき所得税額
この計算式から分かる通り、差し引けるものをたくさん差し引くことが所得税の節税のために有効です。
具体的には、経費、所得控除、税額控除を漏れなく申告することが重要になります。
経費
経費は、売上原価、給与・賃金、地代・家賃、減価償却費が主なものです。
その他にも、経費で落とせるものがいくつかあります。見落としがちなものを紹介します。
家事按分
自宅兼事務所の場合は、家賃、光熱費、通信費、自動車関連費などを仕事で使っているのかプライベートのものなのか分かりにくいこともあるかもしれません。
しかし、事業で使っている分については、家事按分といい、経費に計上することができます。
少額減価償却資産の特例を利用する
10万円以上のものを購入した場合は、固定資産として耐用年数に応じて減価償却しなければならないことになっています。
ただ、青色申告を行っている場合は、10万円以上30万円未満の減価償却資産について、費用全額を一括で経費とすることができます。
短期前払費用の特例を利用する
前払費用は支出した時に資産に計上し、役務の提供を受けた時に損金に参入するのが基本です。
ただ、前払費用のうち、支払い日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払い日の属する事業年度の損金の額に算入しているときはその支払時点で損金の額に算入することができます。
これを短期前払費用の特例と言います。
短期前払費用の特例が利用できるものの例としては、保険料が代表的ですが、他にも次のようなものがあります。
- レンタルサーバーの利用料
- 家賃や駐車場代
- 新聞の年間購読料
経費にできる税金を漏れなく押さえる
税金も租税公課として経費に計上できるものがあります。
代表的なものは次のとおりです。
- 印紙税
- 個人事業税
- 固定資産税
- 自動車税
- 登録免許税
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)に加入する
取引先が倒産した際に、個人事業主が連鎖倒産や経営難に陥ることを防止するための共済制度です。
5,000円から20万円の範囲で掛け金を選ぶことができ、必要経費に計上することができます。
所得控除
所得控除には、様々なものがありますが、個人事業主の場合は、国民年金だけなので、国民年金基金に加入することで社会保険料控除の額を増やす方法が知られています。
その他、押さえたい点は次の項目です。
小規模企業共済に加入する
小規模企業共済は、中小機構が運営する個人事業主のための退職金制度です。
月々の掛金は1,000円から70,000円まで500円単位で設定することができ、全額を所得控除に計上することができます。
青色申告をする
青色申告をすることにより最大で最大65万円の青色申告特別控除を計上することができます。
次の3つの要件を満たすことがポイントです。
- 所得税の青色申告承認申請書を提出する。
- 事業所得につき、複式簿記で記帳し貸借対照表と損益計算書を添付する。
- e-Taxによる電子申告または、優良な電子帳簿保存を行う。
青色申告にすることで、赤字を3年繰り越せる、家族の給与を経費に計上できるといったメリットも受けられます。
iDeCo(確定拠出年金)で年金を積み立てる
個人事業主がiDeCo(確定拠出年金)に掛け金を拠出した場合は、全額を所得控除の対象とすることができます。
国民年金基金や国民年金付加保険料もあわせて、最大で月額6.8万円(年額81.6万円)まで掛けることができます。
まとめ
個人事業主が所得税を節税するには、経費と所得控除を漏れなく計上することがポイントです。
ネットでも様々な情報がありますが、わからない場合は、税理士などの専門家に相談するのがより正確です。